側室が余生を過ごした浄業院(ジョンオボン)の跡地

王が崩御して喪が明けると側室たちが宮殿を出ていきます。その際、息子や親族の家で世話になる人も多数いたと推測される一方、尼寺である浄業院に身を寄せる方もいたようで、浄業院は側室の哀れな末路の象徴として側室たちのセリフにしばしば登場します。字幕では「比丘尼」や「尼寺」と書かれていても、セリフでは「浄業院」と言っていることもありました。

私が見た韓国ドラマでは、「王と妃」の恵嬪ヤン氏が宮殿を無理やり追い出された後に嫌々ながらここに送られ、「太陽を抱く月」(はフィクションですが)のヤンミョン君の生母もここで暮らしているという設定でした。

『韓国時代劇ソウルめぐり』(記事はこちら)という本で、浄業院の跡地があると知ってから、行きたい!と思っていました。ところが韓国旅行を計画したのがちょうど「北がミサイルを・・・」と騒がれている時期だったので取りやめ、そのまま時が過ぎていました。が、このたび思い立ってソウル旅行を敢行。憧れ(?)の浄業院へ行ってまいりました!

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上の写真をご覧のとおり、落ち着いた街並みの中の坂の途中にありました。ここは、ソウル市内の宮殿があるエリア(=明洞サイド)で、昌徳宮の近辺といえば近辺ですが、最寄駅からは徒歩15分。観光客はほとんど訪れなさそうな地域で、人通りも少なくとても静かでした。私は日本語ができる運転手さんを手配して連れて行ってもらったのですが、「こんなところを指定したお客さんは初めて。私も初めて行きます」とまで言われたので、かなりマイナーなスポットのようです。

現在は「青龍寺」というお寺になっています。
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この門から中に入りましょう。
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入ってすぐの風景。この2つの建物の間の奥に別の建物もありました。
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首陽大君を討つ計画を恵嬪がヒソヒソと練っていそうな雰囲気がプンプン!
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参拝者の方は一人も見かけませんでした。
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運転手さんも初めての場所なので、周囲に何か見るところはないかと確認してくれている間、作務衣姿の尼僧さんがお一人、漬物らしきものが入ったタッパーを手に出てこられ、私を見るとにっこり笑って挨拶(おそらく)の言葉をかけてくださり、すぐ別の建物に入って行かれました。まさか日本人が来たとは思ってないのでしょう、もちろん韓国語でした。私は無言でにっこり笑って会釈を返すしかなく、運転手さんがそばにいたら何かを聞けたかもしれません。

お寺の外には浄業院の跡地であることを示すボードが立っていました。
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ボードには日本語の説明もあり、端宗妃である定順王后が夫の安寧を祈りながら過ごした場所であることや、後年それを知った英祖が石碑を建てたことが書かれています。なおドラマでは「チョンオボン」という読みでしたが、英語綴りは「Jeongeobwon」のようです。

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