新旧『朝鮮王朝実録』を読み比べました!

こちらの記事で以前『朝鮮王朝実録』のことを取り上げましたが、この3月にキネマ旬報社から出版された改訂版を購入しましたので、1997年に刊行された新潮社版とどう変わったのかを読み比べました。

新潮社版


朝鮮王朝実録
著者:朴永圭/尹淑姫/神田聡
出版社:新潮社

改訂版(キネマ旬報社)

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改訂版を開いての第一印象が、なんといっても「読みやすくなった!」。文字組みがゆったりしていて視覚的にとても見やくなっています。このゆったり化+内容増量でページ数が増えているので、厚さが増しサイズもひと回り大きくなっていますが、新潮社版も厚かったので、印象が大きく変わるというわけではありません。個別に手に取ればどちらも「厚い本ね」です。

次に気づいたのが、「系図入ってるよー!(感涙)」でした。各王の治世ごとに分けられた各章に、王様+王后+側室+それぞれの子供が列記されています。これはとてもありがたいですね!ただし各王の家族たちを紹介する本文には、基本的には従来どおり正妃と子供だけです。

ドラマを見る人にうれしいのが、ルビ(ふりがな)の進化です。新潮社版にはほとんどルビがなかったのですが、改訂版にはルビが出現。日本語読みではなくハングル読みで、中宗は「ちゅうそう」ではなく「チュンジョン」です。その他、文章の大筋は変わっていないものの、漢字・かな表記や句読点などが見直され、全体的に読みやすくするための再チェックが入ったもようです。

肝心の内容については、例として「中宗」の時代の部分を新潮社版と改訂版で比較してみましょう。即位まで、即位後の改革も、ほとんど変わりません。家族紹介で取り上げている人物も同じで、敬嬪の項目が増えているわけではありません(ちょっと残念)。チョ・グァンジョのことや士林派についての内容もほぼそのまま掲載されています。大きく変わっているのは「中宗時代に活躍した人たち」。ソ・ギョンドク、ファン・ジニまでは新潮社版と同じですが、医女・大長今という項目が新たに出現しています。また「粛宗」の時代では、禧嬪張氏(チャンヒビン)の項目が微妙に増量。そして淑嬪崔氏(トンイですね)の項目がわりと贅沢なボリュームで新設されています。

このように、新潮社版の内容は引き継ぎつつ、韓国時代劇ドラマを見る人により親切なつくりとなった改訂版。三千円はちょっと決心がいる金額ですが、ブームに乗った軽い歴史本でも千円くらいしますし、それらのライト本はこの『朝鮮王朝実録』(と『朝鮮王朝史』)をもとにかいつまんで書いているものも多いんです。なのでコストパフォーマンス的には『朝鮮王朝実録』のほうがおトクな気がします。

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