庶民たちの朝鮮王朝 [ 水野俊平 ] |
『庶民たちの朝鮮王朝』
著者:水野俊平 出版社:角川学芸出版
水野さんの本の紹介が続きます。こちらも良書だと思います!タイトルのとおり、一般市民の生活がどのようなものであったかをまとめたもの。社会の仕組みに触れないわけにはいかないので、お役所のこと(=官僚や両班)がまったく出てこないわけではありませんが、個人としての両班ではなくシステムの一部としての扱われ方です。
李氏朝鮮で記録に残っているのは両班と奴婢(財産だったので)にまつわる事柄がほとんどだそう。一般ピープルがみずからの暮らしを書き残すわけでもなかったため、詳細がわからないとのこと。よって、主に朝鮮時代後期の都市部での庶民の暮らしぶりについて解説されています。でも資料でわかるものについては前期の例なども取り上げられています。
衣食住はもとより、商売、戸籍、身分制度、夜間通行、貸本屋、トイレ・・・などなどあんなことからこんなことまで、かゆいところに手が届くようなテーマばかり。「『朝鮮王朝実録』の◎年◎月◎日にこういう記載があるからこうだと思われる」ときちんと解説してくれているのもうれしいです。ドラマ「馬医」のことも意識してくださったのかはわかりませんが、ペク・クァンヒョンも少しだけ出てきますよ。でもドラマと直接的に絡めて書かれた本ではありません。朝鮮王朝時代の庶民の生活について平たくまとめたフツーの本です。
最後に余計なお世話ではありますが、水野先生、まるで研究室で自撮りしたかのようなプロフィールのお写真はいかがなものでしょう。出版が角川なのだし(弱小出版社よりはお金がありそうです!)、今度も使う機会もあると思うので、もう少しイイ感じのお写真を撮ってはいかがでしょうか?