元敬王后の激しい嫉妬を買った孝嬪金氏(?年-1454年)

<概略>朝鮮王朝第3代国王・太宗の側室。元敬王后閔氏が実家から連れてきた使用人。奴婢出身。太宗の即位前に庶長子・敬寧君を出産し、即位後は孝順宮主に封じられる。逝去後400年以上経った高宗時代に孝嬪の諡号を贈られ、現在は京畿道九里市峨嵯山のふもとに眠っている。

息子の敬寧君は性格が善良で孝行心に厚く学問もよくでき、異母兄弟の譲寧大君(廃世子)や忠寧大君(後の世宗)に勉強を教えたと伝えられ、太宗・世宗・文宗・端宗・世祖の5代に仕え、国政に尽力した。また、後宮に嫉妬した元敬王后が幼い敬寧君を路頭に放置した事件が後に明らかになり、元敬王后の弟ミン・ムヒュルとムフェがこの罪をかぶる形で処分されている。

<子>
敬寧君(1395年-1458年)

<補足>元敬王后にイビられたイメージの強い孝嬪ですが、『王妃たちの朝鮮王朝』によると全く違う野史も残されているそうです。その逸話とは、孝嬪はもともと太宗と敵対する神徳王后の使用人で、内情をスパイさせるために太宗がひそかに手をつけていたというもの。ところが孝嬪が妊娠してしまい、真実を知った神徳王后は孝嬪を始末するつもりでした。そこへ太宗に相談された元敬王后が乗り込み、孝嬪の顔につばを吐きかけて怒ってみせ、許せないから私に渡してくれ!と頼んで屋敷に連れ戻り、保護したのです。このため孝嬪は元敬王后に深く感謝をしたとか。いずれにせよ低い身分の出身だったことは間違いなさそうですね。

敬寧君は忠臣だったらしく、宗親という危うい身分にも関わらず5代の王に仕えました。ただ女癖が悪かったのか、元敬王后の喪中に妓生と関係して太宗の怒りを買い、引き続き家に呼んでいたことで世宗時代に弾劾されています。

<ドラマに見る孝嬪金氏>
「龍の涙」では元敬王后が実家から連れてきた使用人トクシルとして登場。ミスコリア出身の美しいキム・ヘリさんが演じていらっしゃいます。太宗と結ばれるあたりでは元敬王后に辛くあたられましたが、元敬王后が正式な側室と認めてからはおだやかな主従の関係でした。多くの後宮を抱えた太宗の愛は続かず、宮殿でさびしく暮らす姿も出てきます。

「大王世宗」では同じくミスコリアのキム・ソンリョンさんがキャスティング。ドラマ初回にはすでに側室となっており、元敬王后の使用人だったということはセリフでわかります。このドラマでは敬寧君を王座につけようと野心マンマンで、元敬王后とバトルしていましたが、実際には側室の王子が公然と世継ぎを狙える雰囲気ではなかったのではと思います。少なくとも歴史本にそれらしきことを匂わせる部分はありません。譲寧大君を廃世子にした後は彼の息子を世継ぎにするかが検討されたそうですし、そもそも太宗は第一次王子の乱で父の第二夫人(神徳王后)の息子を排除していますから、庶子に継がせるのは名分に反していたのではと思います。

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