夫(定宗)に譲位を決心させた定安王后金氏(1355-1412年)

<概略>朝鮮王朝第2代国王・定宗の正妃。本貫は慶州金氏。父は月城府院君キム・チョソン(金宗瑞)、母は潭陽李氏出身。イ・ソンゲ(太祖)の二男であるバングァ(永安大君)と結婚し、いくたびもの政変を経て太祖が朝鮮王朝を開き、1398年に夫が世子に冊封されると世子妃となり、つづいて夫の即位にともない王妃の座にのぼる。ただし当時は徳妃という諡号だった。定宗が王になるも、実際に権力を持っていたのはその弟であるバンウォン(靖安大君=太宗)だったため、命の危険を感じた定宗が2年後の1400年に譲位。このとき朝鮮初の王大妃となる。譲位後の定宗は仁徳宮に住み、撃鼓や狩り、宴会などを楽しみ悠々自適に暮らした。定宗には15男8女がいたがすべて側室の子で、定安王后の実子はいなかった。

定宗の即位期間が短かったため、定宗夫妻は正式な王・王妃としての扱いを長らくされておらず、逝去後300年近く経った1681年(粛宗7年)に温明荘懿の尊号が追贈された。現・北朝鮮領にある厚陵(フヌン)に定宗とともに眠っている。

<子>
なし

<補足>どの歴史本にも記述が少ない定安王后ですが、定宗に譲位を強くすすめたエピソードは広く知られているよう。『燃藜室(ヨルリョシル)記述』によると、定安王后が「殿下はなぜバンウォンの目を正面からご覧になれないのでしょうか。もう譲位なさって心を安らかになさいませ」と進言し、定宗も同じ考えだったため、翌日バンウォンに譲位しました。性格は穏やかでやさしく、目上の人をよく慕ったそうです。

<ドラマにみる定安王后>
「龍の涙」で扮したのは、パク・ユンソンさん。「王妃チャンノクス」での徽淑翁主役より「龍の涙」でのお姿のほうがずっとよかったです。品があってちょっと色っぽいイイ感じの雰囲気で、まだイ・ソンゲが王になる前のただの有力者の息子の夫人にすぎなかった時代から、大妃として逝去するまでを演じられました。史書のとおり、いつも控えめでおだやかなキャラで、それでいて定宗をそばでしっかりと支えていました。世子(譲寧大君)が「オレの両親(太宗&元敬王后)とは正反対の静かな性格の方だった」と嫌味っぽく言ってたのがおもしろかったですね。

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