これは買いです!王族から庶民までツボなネタがいっぱい『朝鮮王朝を生きた人々』

【送料無料】朝鮮王朝を生きた人々 [ 水野俊平 ]

朝鮮王朝を生きた人々 [ 水野俊平 ]
価格:1,680円(税込、送料込)

朝鮮王朝を生きた人々 その隠されたエピソード
著者:水野俊平 出版社:河出書房新社

お手軽価格のイラスト表紙の韓国の歴史本の発刊が続いていますね。私も数冊所持しています。お手軽歴史本は、著者が参考としている書籍がほんの数冊で、しかもほとんどが私でも入手して読める日本語のものという場合もあるんです。とりたてて何かのテーマに寄ったものならば「読みたい!」と思うのですが(夜伽とか:爆)、広く浅くな感じでまとめた本については、『朝鮮王朝実録』や『王妃たちの朝鮮王朝』や『朝鮮王朝史』を持っていれば買わなくてよいかもという印象がありました。

そんな中、前述3冊を持っていても買ってよかった!と強く感じたのがこちらの『朝鮮王朝を生きた人々』です。さすがに研究者の方なだけあってあちらの専門書籍をガンガン参考にされています。

世間を騒がせた事件を切り口に、王族・官僚・市井の人々などさまざまな人物が登場します。全く知らなかった人たちも取り上げられていて、おもしろく読めました。王や王妃についてはどうしてもドラマでおなじみのエピソードになりがちですが、きちんと出典を記しながら解説・分析してくれていてフムフムと一歩深いところまで納得できました。正史なのか野史なのか、でもこれはこういう事情で書かれているから信頼性があるかないか・・・などが丁寧に添えられている箇所も多く、安心して読めるんです。

王族関係以外のネタでは、世宗時代に起きた都の大火事、成宗時代の妖婦オウドン、そしてもっとマイナーな事件などバラエティ豊か。最初にあげた世宗時代のネタは、ドラマ「大王世宗」で世宗が講武に出かけたときに火事が勃発して北三道の人々が疑われたエピソードの下敷きとなった出来事で、本当に北方の人々が捕らえられたようです(ドラマのようにタミが「絵」の上書を出したりはさすがになかったと思いますが・・・)。「あー、あのエピソードだ~」とか「あのドラマでちょこっと出てきたあの人とこういう関係があったんだ!」などと、一人でニンマリ納得できて個人的には満足度が高かったです。

某お手軽シリーズ本の張禧嬪についての説明(「貧しい幼女時代を送り、知り合いの後押しで宮女になり、教養も品性もなかったが美貌と虚栄心は人一倍。粛宗がコロリとだまされ、おぞましい策を弄して王妃になった」←え?2時間サスペンスの副題かいっ?)に満足できない方にはおすすめの書籍だと思います。

文章も平易すぎず難解すぎず、最近刊行された本ですので(大昔の訳本のような独特の読みにくさなどがなく)、しっくりと読めます。ルビも「世宗(せそう)」ではなく「世宗(セジョン)」式で、人名以外の単語にまでふられているのでありがたいです。ただし残念なことに校正モレ(?)発見~。189Pで仁敬王后が粛宗の3番目の王妃となっていますが正しくは1番目の王妃だと思います。92Pでは淑嬪チェ氏が正祖の母親というふうに読める記述があるのですが、これは英祖の間違いですよね?それとも「正しい祖」という意味で正祖と書いたのでしょうか・・・?

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