一国のお姫様から悲しい境遇に転じた敬恵公主(1435-1473年)

<概略>朝鮮王朝第5代国王・文宗の長女で、第6代国王・端宗の姉。母の顕徳王后權氏は文宗の世子時代の側室で、敬惠公主を産んだことが評価されて世子嬪の座を得たが、端宗を産んで産褥死した。幼い頃の敬惠公主は、郡主(世子の娘)として、当時の慣習どおり、親類の家で乳母の手によって育つ。世宗32年(1450年)、16歳という当時としては遅い年齢で、寧陽尉チョン・ジョン(鄭悰)と結婚。父が文宗として即位すると、公主として冊封された。父の亡き後は弟の端宗が即位するが、この端宗は唯一の肉親である敬惠公主と義兄の寧陽尉を慕っており、しばしば郷校洞の屋敷を訪問していたという。

やがて叔父の世祖が王座につき、端宗が上王に退くと、反世祖勢力の一人であった夫チョン・ジョンが世祖7年(1461年)に処刑されたのに伴い、順天(スンチョン)や長興(チャンフン)の官婢に落とされたという野史や記録がある。その一方で『朝鮮王朝実録』には、尼になって貧しく暮らす敬惠公主に世祖が屋敷や財産を下賜し、子供は連座させないことにしたと記されており、敬惠公主が亡くなった際には成宗が香典を贈ったとの記録もある。娘は成宗8年(1477年)に結婚したと思われ、息子は登用されて中宗時代初期の『朝鮮王朝実録』に名前が頻出する。

<子>
チョン・ミス(鄭眉寿)(?年-?年)

<補足>世子の娘として蝶よ花よと育てられたのに、父は即位2年で崩御し、弟も王座を追われ、つづいて夫もあの世へ・・・と、短い間に次々と家族を失った敬恵(キョンヘ)公主。そんな波乱の人生に「王女の男」の監督さんが着目してドラマに登場させたそうで、そのおかげで注目度急上昇!?ではないでしょうか。考えてみたら、王室に嫁いだ女性は身の処し方しだいで国を左右するほどの権力を握ることもできますが(例:没落両班だったのに女君主と称すほどになった文定王后)、王室に生まれた女性はだいたいの場合、“サガる”一方なのかもしれません。息子さんの末路が気になったので『朝鮮王朝実録』で細かくチェックしたところ、中宗時代前期に何度もその名が登場します。功臣パク・ウォンジョン(敬嬪養父)やホン・ギョンジュ(ヒ嬪父)などと一緒に記述されているので感慨深かったです。

<ドラマに見る敬惠公主>
「王と妃」では夫のチョン・ジョンともに少年少女な夫婦で、キャラ設定は皆無に等しく、単なる存在としての登場でした。端宗がよく姉夫婦の屋敷を訪ねていたのが印象に残っています。

「王女の男」序盤では気の強いお姫様として登場。弟の端宗を叔父の世祖から守ること叶わず、夫チョン・ジョンとしだいに愛を育み、夫が逝去してからは子供を守ろうとする一人の女性として描かれました。なお、このドラマにおけるチョン・ジョンとのエピソードはほとんどが創作です。演じたのはホン・スヒョンさん。「王の女」で年老いた宣祖に嫁いだ仁穆王后役だった方ですね。

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コメント

  1. リンリン より:

    こんにちは♪ 王女の男はハマリました♪ でも主役カップルよりもチョン・ジョン×敬恵公主のカップルに萌えまくりました♪ チョン・ジョンは龍の涙では非常にオイシイ役だった廃世子や女人天下では女好きイムだったイ・ミヌさんでしたね♪三枚目キャラでしたが敬恵公主を愛したことで非常にカッコよく見えました。 ツンツンしすぎの敬恵公主がチョン・ジョンを好きになっていくのがわかると思った次第です。 やっぱりあの最期の処刑前のスヤンに啖呵切ったところはサイコーにシビレましたよ♪
    チョン・ジョンが処刑されたあとの敬恵公主がお気の毒で・・自分一人だったら王妃の援助も突っぱね奴婢のままで一人で生きる誇り高い公主が子供の為に生き恥をさらしてまでも援助に甘んじるのが痛々しくでたまりませんでした。 
    こんな主役カップルよりも萌えたチョン・ジョンと敬恵公主との愛の結晶のミスの将来を心配していたのですが・・・
    あの朝廷で強かに生き延びたのですね。 さらに調べてみるとあの科挙にも受かり政治家としてデビューしたけど・・罪人の息子ということでさんざん叩かれたみたいですが・・あの成宗はミスのことを庇いきったとのことですよ。 自分の嫁や愛人(オウドン?)
    を守ることができなかった成宗少し見直した気分でした。
    でも・・それだけではなかったと思います。あの卑しい輩どもに対抗できる強かで頭も切れる人だったかと・・それも敬恵公主の育て方が良かったと思います。
    一度ドン底を味わった公主ですからね。 
    さらにヨン山君時代をうまいこと切り抜けて・・さらには功臣ですから・・ジョンと敬恵公主 さらにスヤンに叩かれた人たちもあの世で拍手していると思いますよ
    あと・・娘もいたのですね♪ ビックリです。
    王女の男で敬恵公主の行く末が心配だったのでホッとしたリンリンでした。